コンセプト
広大な海へと静かに降りてゆく 清らかな水。
それは山からの贈り物である。
この贈り物によって、豊かな海の世界は始まる。
夜明け前、船が出てゆく。漁師たちは網を投げ込み、祈りをこめて収穫を待つ。
日の光が海面をキラキラと彩り、未来への想いが波に揺れている。
釣り上げた魚たちは、職人の巧みな技術によって白波となり、食卓へと運ばれる。
自然の恵みと人間の営み。それは遠い昔から続いてきた流れ。
近年、地球温暖化や深刻な海洋汚染問題が叫ばれる中、
食を通して、山、海、自然との調和を考え直したい。
メッセージ
初めて口にした瞬間、
私の心の中で響いたのは「これは海の味だ!」という感動でした。
「一体どうしてこんなにも海の味がするのですか?」と問いかけると、
「余計な添加物は一切使用していない、」との答えが返ってきました。
直接、漁師さんが海から引き上げた魚を、船の上で瞬時に擦り身にし、
それを若松屋の工房へと届ける。その後、熟練の職人が一枚一枚、心を込めてはんぺんに仕立て上げる。この一連の流れを通して、私は「海そのものがはんぺんという形に生まれ変わった」と感じ、「白波」という言葉が心に浮かびました。
余分なものを排除し、長年培われた技術で、一枚一枚、誠実に丁寧に仕上げる。その姿勢に深く感銘を受け、私も同じような真摯な気持ちを込めて、作曲致しました。
現代社会では、見た目を良くするため、あるいは依存させるために余分な要素を多く含ませ、過剰なまでに加工しているように感じます。それは食品だけでなく、情報全般にも当てはまるのではないかと思います。私たちは本来の美しさを見失っているのかもしれません。
若松屋さんのはんぺんを通じて、私は改めて「ものづくりの本質」とは何か、その目的や意義について考える機会を得ました。心から感謝申し上げます。